RIP SLYMEのRYO-Z、ILMARI、m-floのVERBAL、新人ラッパーWISEの4MCと、DJ NIGOの
1DJから結成されたTERIYAKI BOYZの1stアルバム。これだけでもそうそうたるメンツであるワ
ケだが、さらにプロデュースにはDAFT PUNK、NEPTUNES、BEASTIE BOYSのAD-ROCKと、
一例を挙げるだけでも国内外問わずその名を馳せるビッグアーティストときている。何やらこの
NIGOという人物がスゴいらしくて、そっち方面のことはあまり詳しくない自分でもこの顔ぶれか
らその人脈ってヤツを推し量ることはたやすい。
メンバー側・プロデュース側ともに個性の強いメンツだが、結論から言ってプロデュース側の
方がメンバー側をくっているような印象である。プロデュース側の用意した足場にメンバーが乗
じているような、メンバーの被プロデュース感が色濃く出ている。もちろんMCらの個性は折り
紙つきで、このユニットにおいても各人主張しまくっているのだが、それ以上に海外勢によるバ
ッキングのインパクトが強烈。結果、RIP SLYMEやm-floといったアーティストの一般に知られ
る奔放で開放的なイメージは、すっかり国外産のアクの強いそれに塗り替えられている。それ
すなわち、「リップやm-floのような作風は期待しない方がいい」ということだ。
その辺のイメージの切り離しさえできていれば、国内外のヒップホップのエッセンスが高次
元でミックスされたアルバムということは約束できる。何よりこれだけ豪華な国内外のメンツに
よるコラボレーションってそうそうないと思う。別ユニットに本隊をおくMC陣も舞台が変わったか
らといってアイデンティティーが殺されるようなことにはなってないし、このアルバムで初お目見
えだったWISEも他のMCにけして劣らないライミングスキルを持ってると思う。基本的に捨て曲
はないが、ファレルが自らマイクを握ってもうほとんど洋楽な「超 L A R G E featuring PHARRE
LL」、コーネリアスプロデュースで何ともいえない気持ち悪さが気持ちいい(笑)「moon the wo
rld」(WISEとVERBALのバースでどうしても笑ってしまう!w)、パーカッシブなトラックに乗せて
やたらとテンション高めのライムが飛び交う「KAMIKAZE 108(酉年 mix)」あたりが気に入りまし
た。あ、でもラストのボーナストラックの「KAMIKAZE 108(Swisha House Remix)」はちょっとうざ
ったかったかも…(2006/8/12)
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