ALBUM REVIEW



音速ライン

TITLE  風景描写
Released  2005.11.16
SINGLES  「スワロー」「街風」「逢瀬川」
Evaluation  ★★★★★★★★☆☆
 ギター・ベース・ドラムの3ピースでスタートした音速ラインのメジャー1stアルバム。先行シング
ルの動物ジャケが可愛らしくていいな、と思ったらネットで公開されてる作品の無断利用だった
とかで問題になってしまった上、この年の末にドラムの菅原氏が脱退するなど、デビュー初年な
のに何だか幸先悪いなぁ、などと思ってた記憶があります。
 でも、そんな背景は関係なくこれとてもいいアルバムなんです。とにかく曲がいい。演歌にリ
アレンジしようとしたら全曲可能なのでは?と思うほど「和」を感じさせるメロディーは好きな人と
苦手な人にはっきり分かれると思うけど、自分的には前者でした。ハマる人はとことんハマるメ
ロだと思う。また、シングル3曲は曲展開が一本調子な印象があったけど、轟音疾走ギターロッ
クを機軸としつつも「39」や「x2x2」(「サンキュー」と「バイバイ」の当て字。この辺の適当っぷりも
良い/笑)といった打ち込みタッチの短いインストや、「リンカラン」のようなアコースティックで趣
深いスローナンバーもあり、シングルを聴いただけではわからなかった幅の広さが感じられる。
逢いたい」でのストリングスの導入も、多少大仰ではあるがいいアクセントになっている。
 ひとつ難を言えば、ボーカル藤井氏の歌声がちょっと弱い。タイトな演奏に対してボーカルが
勢い負けしている気がする。このボーカルとバンドサウンドとの対比を音速の味とする声も多い
ようで、その点は同意できるのだが、個人的には「甘美」というよりも「なよい」という印象にとど
まってしまっている。ここがもうちょっと強化の余地あると思います。優しい感じは守ったまま力
強いボーカルに、ってのは可能だと思うので。ともあれ、全体的に1stにして早くも音速ラインと
いうバンドの土台のしっかり固まった名盤だと思います。お薦め。(2008/2/24)
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