ALBUM REVIEW



オムニバス

TITLE  ASIAN KUNG-FU GENERATION presents
 "NANO-MUGEN COMPILATION" 
Released  2005.6.8
Evaluation  ★★★★★★★☆☆☆
 ASIAN KUNG-FU GENERATION主催のロックフェス「NANO-MUGEN FES.2005」の出演者の
楽曲により構成されたコンピレーションアルバム。エルレやテナーなど今をときめくバンドはも
ちろんのこと、洋楽ではあのASHまでもがこのコンピに参加してます。
 今や日本のポップロックバンドの旗手という認識も大それたものではないアジカンが主催す
るフェスだけあって、そのコンピ版の曲目も一通りに見てポップなロック。1曲目の「Burn Baby
Burn/ASH
」はさすが数々の音楽賞を総ざらいにしたアルバムからの1曲とのことでアホみた
いにキャッチーで痛快なナンバー。2曲目は主催者アジカンの新曲「ブラックアウト」。この曲に
対する所感はすでに別の場所で語ったので割愛するが、パワーポップバンドとしてのアジカン
がひとつの完成をみたことを思わせる名曲だ。「I Love You 'Cause I Have To/DOGS DIE IN
HOT CARS
」は全編にわたってタイトルのリフレインが繰り返される、一度ハマった人はとこと
んハマっちゃいそうな曲。エルレの「Bored Of Everything」は4月に発売された最新アルバム
RIOT ON THE GRILL」の中でも叶月一押しの佳曲で、この曲をチョイスしたことには親指を立
てたい。5曲目の「Tongue Tied/FARRAH」はシンプルなポップロックの一言に尽きるが、何
にしてもメロディーがいい。6曲目「SUGAR BOMB BABY/INDUSTRIAL SALT」はまさかのガ
ールズバンド。だけに、ボーカルは弱い気がするけど打ち込みっぽいサウンドは広がりがあっ
て、なかなか。現代ロック界では明らかに浮いている(悪い意味でなくね)スパルタローカルズ
の「ロックとハニー」は、あまりピンとこなかったけどDOGS DIE〜同様、一度ハマったら病み付
きになりそうなタイプ。ラストを飾るテナーの「WHITE ROOM BLACK STAR(Stout Version)」は
sg「THE REMAINS」のカップリング曲のバージョン違いで、わりと王道のテナー節が聴ける。
 とまぁ一口に感想を書き連ねてみましたが、「アジカン主催のロックフェスのコンピ版」として
は特別場違いな曲はなく、アジカン目当てで買ったという人もそれなりに楽しめる曲目なので
は。ただ一つ難を挙げるとすれば、このコンピ自体に対する心持ちは微妙なところだったり。こ
ういう風に主導権もったり牽引したりするようなカリスマ性をたたえたアジカンは、理想のアジ
カン像じゃないというか…(笑)(2005/8/16)
TITLE  ASIAN KUNG-FU GENERATION presents
 "NANO-MUGEN COMPILATION" 2006 
Released  2006.7.5
Evaluation  ★★★★★★☆☆☆☆
 前年に引き続き、ナノムゲンフェスの出演アーティストの音源を集めた「ナノムゲンコンピ」の
第二弾。今度はアーティスト数と曲目も増え、フルアルバム的なたたずまい。前作とネーミング
上の差別化をはかるため「2006」と付け加えられているのがいかにもとってつけたような感じで
よろしい(笑)
 前回とはほぼ入れ替わりのメンツですが、基本的にアーティストや曲目を決める上でのコンセ
プトは同じなのかなと。主催者のアジカンはもちろんのこと、仲良しバンドのストレイテナーや
ELLEGARDENといった「常任」メンバーに加え、今回はBEAT CRUSADERSやチャットモンチーな
どの今が旬なアーティストや、それに準じて髭(HiGE)やMO'SOME TONEBENDERなど知る人ぞ
知るバンド、他には洋楽勢を中心としたこのコンピへの参加をきっかけに認知度を高めるのが
目的と思われる(言い方は悪いけど)アーティストがいくつか。フェスのための予習盤兼一押し
アーティストの推薦盤といったところでしょうか。
 何だか皮肉めいた口ぶりになってしまいましたが、それぞれの参加アーティストのいいところ
を知ってもらうという点においては前作同様、十分機能しうるコンピだと思います。ただフェスに
参加するでもなく、アジカンの一ファンとして「ファンクラブ」発売後初の新曲となる「十二進法の
夕景
」目当てで買った自分にとっては可もなく不可もなく、といった一枚でした。その新曲も「フ
ァンクラブ」の延長線上にある「難しいことにトライしてる」曲で、アジカンの魅力が100パーセント
引き出されてるとは感じられなかったし…。
しかしこのアルバム、先に書いた「常任」バンドの選曲が絶妙すぎる。ELLEGARDENからはシン
グル「Space Sonic」のカップリング曲「Stereoman」、ストレイテナーからはこの時点での最新ア
ルバム「Dear Deadman」からの一曲「The Nowarist」がチョイスされているのだが、私的な意見
になってしまうのだけどこの2曲に関してはオムニバス盤の収録曲に選ぶ曲としてはこれ以上
ないほど叶月のセンスにもろジャストなのです。特に前者は個人的にエルレの曲の中でもかな
りの上位に位置する曲であり、エルレ自身のアルバムにも未収録の曲なのでここでの収録は
嬉しすぎる。そう考えるとこのコンピ、叶月の知らないアーティストに関しても実はかなり絶妙な
選曲がなされているのでは…とも思えてくる。とにかく、個人的にはこの2曲が収録されている
だけでも、太鼓判を押したいです。(2007/6/25)
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