彼らのことを初めて知ったのは、CATVで時々見かけた「voyage」のPVで、ブラウン管ごしに
見た彼らは何の変哲もないただのメロコアバンドのようで、やってる曲も大して目新しいアイデ
アも見当たらなくて、実は長いこと軽視していたバンドだったのです、このlocofrank。
で、それからまた新作が出るとのことで冷やかし程度のつもりで過去音源をあさってきたので
すが、これが予想に反し「ありふれたパンクバンド」という彼らの印象を塗りかえるに値する内
容だったのです。そんなlocofrankのメジャー初音源がこの「Starting AGE」です。
彼らが他のパンクバンドと差別化できる要素はというと、個人的には「メロディーの良さ」より
もまず、メロディーに対する英語詞の当て方と、その発音の良さにあると思う。日本語詞の曲
でよく見られる「このメロディーの起伏にこの言葉はないだろ」という、メロディーと歌詞のイント
ネーションとの齟齬というものは英語詞の曲にも同様にあって、メロディーの起伏と英文のイン
トネーションとがきちんと噛み合うことで、こんなにも曲全体がスムージーに流れるモンなのか
ということを、このアルバムを聴いて認識させられました。でもってVo.の木下氏、意外にも発
音が流暢!流暢な英語は曲の流れのスムーズさに拍車をかけます。ただ一つ難を言えば、
対訳は直球も直球の青春パンク。
しかし、このミニアルバムの段階ではまだ「普通のパンクパンド」の域を出てない印象。持ち
前のメロディーの良さも、他のパンクバンドと差別化できるまでには至ってないような。あと、曲
の随所におちゃらけたボーカルが挿入されており、これが水をさしてるとまでは言わずともバン
ドの青臭さを思わせる。後から振り返ってみてこそ微笑ましい初期作品ではあるが、当時この
アルバムを聴いていたら、日本のロックシーンにごまんといるパンクバンドの群れの中で脳内
埋没していたかもしれないです。
とはいえ、後のlocofrankの成長を予感させる佳作もちらほらと見受けられるのもまた然り。
「It's OVER」はその一例で、後にフルアルバム「ripple」でリテイクされているのもうなずける一
曲。「PLAY IT!!」なんかも、疾走感でグイグイ押すような曲ではないにもかかわらず、アルバム
内では比較的印象に残りやすいナンバー。また、演奏のスキルであればこの頃から完成され
てると言ってもよく、そういう意味でも後のlocoを想像するのも難ではないミニアルバムではあ
ります。(2005/10/24)
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