ALBUM REVIEW



HAWAIIAN6

TITLE  SOULS
Released  2002.8.7
SINGLES  (なし)
Evaluation  ★★★★★★★☆☆☆
 メロコア・エモコアって言葉を聞くとそこいらに腐るほど転がってるような気がするけど、真っ
先に思いつくのはこのHawaiian6だったりする。
 日本のメロコア界の第一人者:Hi-STANDARDの横山健プロデュースの当アルバムは、収
録曲のほとんどが3分を超えない尺の短さ、発音つたないのに全曲英語詞、何よりそのサウ
ンド自体がメロコアそのもの。しかし、何と言ってもHawaiian6の魅力はメロディーの良さにあり
、この点に関しては他のメロコアバンドの追従を許さない。演奏の方もテクニカルな見せ場こそ
ないけれど揺るぎはない。パンク・メロコアのお約束である道徳的(であり、時に啓蒙的)な歌
詞も他のパンクバンドより一歩抜きん出た説得力を何となく感じるのは、Hawaiian6というバン
ドが良メロ・良演奏の支柱を兼ね備えた「素人臭さ」を感じさせないバンドであるからに他なら
ない、と思う。
 かようにメロコアのおいしいところをしっかり押さえているこのバンドなワケだけれども、同時
にメロコアの欠点も持ち合わせてしまっているのが惜しまれるところでもあり…つまりはこのア
ルバム…曲とタイトルが一致しねぇ!! 超速メロコアナンバー一本で固められた楽曲群は、14
曲36分というコンパクトさにもかかわらず間延びしてしまうのは否めない。そりゃよく聴き込め
ば「見分けつかない」なんてことはないんですが、これが他のアルバムの収録曲も合わさった
時にゃ、軽く社会科の都道府県名の暗記と同じくらいの記憶力を要するんじゃ…。全14曲
中かろうじてタイトルからどんな曲かを思い起こせるのは、当アルバム内でも随一のミドルナン
バー(これでも)である「FLOWER」と、逆にテンポの速さでアルバム内随一、1分程度で終わる
のが潔い「TINY SOUL」と、メロディーの良さが頭一つ飛び抜けたリード曲「PROMISE」くらいな
ものである。しかし、その「PROMISE」がもう名曲すぎる名曲。誰しもどこかで耳にしたことのあ
るような懐かしさを含むメロディーは徹底的なまでにメロディアス、曲の端から端まで良メロで
しか構成されてないと言っても過言ではないほどに良メロづくし。英語詞のイントネーションとメ
ロディーの起伏との不一致もとりあえず隅に置いておきたくなる超絶名曲です。まぁ一本調子
とはいっても、メロコアとはそんなことをいちいち気にしていては楽しめないものだし、その点さ
え抜きにすればかなりの良作だと思います、コレ。とにかく何も考えずに、図太いギターサウ
ンドと良メロの渦の中にたたずんでいたいという人にはお薦めできるかと。
 それにしても、今回レビューを書くにあたって初めて知ったんですが、このバンド名の「6」の
由来がそんなところから来ているとはねぇ…男、いや、漢、ですな(笑)。(2005/9/29)
TITLE  ACROSS THE ENDING
Released  2003.8.6
SINGLES  (なし)
Evaluation  ★★★★☆☆☆☆☆☆
 オリコン週間アルバムランキング5位を記録した出世作。アルバムとは言っても収録曲は相
変わらずの尺の短さで、5曲13分とシングル並みのコンパクトなミニアルバム。
 今回もリードナンバーの「MAGIC」が素晴らしく良い。持ち前のメロディーの良さはそのまま
に、言ってしまえば対象が固定層に限定されがちなパンク・メロコアという枠を飛び越えた、新
しいHawaiian6の代表曲と言って差し支えないと思う(「PROMISE」は名曲には違いないのだが
、曲のつくりやアレンジがどうしてもメロコアファン対象だったというのはあった)。実際、自分は
この「MAGIC」がHawaiian6との実質上の接点となり、この曲はこの年最もよく聴いたJ-POP曲
の中のひとつともなった。メロコア・エモコアを聴いたことのない人や、さらにはロックを聴いた
ことのない人にも是非聴いてもらいたい、普遍的なJ-POP曲として通用しうる名曲だと思う。
 そんな「MAGIC」で新たなポテンシャリティーを見せてくれたHawaiian6ですが、他のアルバ
ム曲はというと、う〜ん、やっぱり今まで通りのハワイアン節炸裂でした(苦笑)。あのね、例
えばの話、このアルバムの中に他のハワイアンのアルバムの曲が1曲紛れ込んでいても、
ぶん気づかない
です、ハイ。これがファンの間じゃ一曲一曲がちゃんと立って聴こえるらしい
んだけれども、残念ながら自分には一辺倒に聴こえてしまいます…w; 「MAGIC」という新た
なるHawaiian6の可能性を垣間見ることができただけでもよしとするべき、なのかな。。あと、基
本的な作風は前作「SOULS」と変わってないので、曲数も少ない分ハワイアン入門としては適
した一枚かも。(2005/9/30)
TITLE  BEGINNINGS
Released  2005.8.6
SINGLES  (なし)
Evaluation  ★★★★☆☆☆☆☆☆
 2年振りのニューアルバム。フルアルバムとしては3年振り。
 これまでプロデューサーとしてお世話になっていた横山健のもとを離れ、セルフプロデュース
となった今作。氏の手を離れることによってサウンドに何か劇的な変化はあるのか、はたまた
これがひょっとしたらリリースごとに死活問題となっているマンネリ化傾向の風向きを変えるい
い契機になるのか、とかすかな期待を抱きつつフタを開けてみたのだが…や、や、やっぱり
何も変わっていないぃぃぃ!!
 いや、何一つ変わっていないというワケではなく、曲の始まり
方とかにはこれまでの作品では見られなかったような工夫がなされていたりもするんだけども
、結局その直後にはいつもの超速パターンになだれ込むワケですからね^^; う〜ん。まぁこの
スタイルは初期の頃からずっと変わってないし、ファンにもすこぶるウケのいい作風なので、メ
ンバーの間にもドラスティックな変化を遂げようというつもりはおそらくないんでしょうね。だとす
ればいっそのこと、とことん追求していただくまでです、ハイ。
 アルバム内で比較的目を引いたのは、例えばM-4「WORLD」。前作「ACROSS THE ENDIN
G
」の1曲「MAGIC」路線のナンバーで、メロディーの良さは「MAGIC」に劣るものの 、メロコアと
いうジャンルの枠に限定されないところは「MAGIC」と同様、好感が持てる。この調子だと、た
ぶん「アルバム1枚に1曲」くらいの頻度で挿入されることになるんだろうけれど…。スキップを
踏むように軽快なテンポで進むM-8「RAINBOW, RAINBOW」も今までになかった感じ。セルフ
プロデュースによる賜物なのかどうかは定かではないけど。こういう曲が今後もっと増えれば
いいと思う。(2005/9/30)
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