噂の(?)お面バンド、BEAT CRUSADERSのメジャー1stフルアルバム。
ヒダカトオル氏曰く、このアルバムのコンセプトは「名ばかりの『ポップ』を語った音楽が蔓延
する現代の音楽界に対する、自分にとっての『ポップ』とは何か、の回答」とのこと。ポータブル
機器の進歩による「CDの売れない時代」の到来、もはや出せるアイデアは出し尽くされてしま
ったのだろうか、これに輪をかけるかのように凡庸化していくヒットチャート、果ては何らリスペ
クトの見出せないカバー曲の乱発、ドラマタイアップに関連した過去の大ヒット洋楽曲の再リリ
ース、アニメヒットに幅を利かせて新人を起用する、目先の利益ばかりに捕われた強引なタイ
アップ…と、陳腐化の要因を挙げれば枚挙にいとまがない現代のJ-POPシーンにあって、独
自の「ポップ」を武器にヒットチャートに斬り込みをかける彼らの立ち位置は、メジャーシーンに
彗星のごとく現れたまさに「お面の騎士」なのだろう、なんて。(ぁ
…ただ、叶月にとっては正直なところ「即ポップ(POP ON ARRIVAL)」じゃなかったぞ(^^;
言うなれば「スルメポップ」と言ったところか。もっとこう、脳天突き抜けるほどポップな代物を想
像していたもので… 「自分達にとっての『ポップ』とは、曲を聴いた時に感じる意外性である」
と、ヒダカ氏はとあるインタビュー上で定義しているが、だとすればなるほど、確かにこのアル
バムに収められている楽曲はこの上なくポップなのかもしれない。「〜SASQUATCH〜」や「R
USK」辺りはまさに「意外性のポップ」の言わんとするところだろう。
そんな中でもシングル曲・前ミニアルバムからの既出曲を除くと、意外にも「BLOCKBASTAR
D」がいたく気に入っちまいましたよ。Aメロはシンセサイザー(!)、Bメロはギターのカトウタロ
ウ氏、でもってサビはヒダカ氏がボーカルを担当する、変則的ボーカル3人編成ナンバー(笑)
で、メロディーも甘酸っぱく切ない良メロと、「意外性としてのポップ」としても「親しみやすさとし
てのポップ」としても作用する逸品。アルバム内では地味な位置付けかもしれないけど、さり
げなく好きです、コレ。初回版限定ボーナストラックの1曲「SAY GOOD-NIGHT」も、胸を打つメ
ロもさることながら「ヒダカ氏ってこんな歌い方できるんだ」という意外性があっていいですね。
ともあれ、ますますJ-POPが商業化の一途を辿りつつある今、「ポップとは何か」の指標、と
いうよりは「ユニークな音楽性を打ち出すこと」の指標を打ち出したという点で、このアルバム
は大きな意義をもった作品と呼べそうだ。ヒダカ氏にはぜひとも、今の腐りかけのヒットチャート
に怒り(と書いてPOPと読む)の鉄槌を振り下ろしてもらいたいものです。(2005/6/23)
|