the band apartの1stアルバム。
彼らのジャンルは一応パンクに分類されるようだが、ジャズやボサノヴァ、ダンスなどといっ
た様々なジャンルの音楽を取り入れた実にユニークな音楽をやっている…とのことですが、あ
えて言っちゃうと個人的にはそれほどに多様なジャンルを取り込んでることは一聴してあまり
強くは感じませんでした。それだけ、多様なジャンルの音楽を「バンアパ」という独自の枠の中
に収められていると感じたからです。(「fool proof」でのボサノヴァの導入はさすがにアレンジ
の乖離を否めないけど…)
この時点ではまだコードギターの主張するところが大きく、様々なジャンルの音楽を包括しな
がらもパンクに分類されていたのはこのことによるところが大きいと感じるのだけど、それでも
この作品から入った人で衝撃を受けたリスナーが後を絶たなかったというのも十分納得のいく
話です。曲展開のまとまり具合は次作に譲るものの、この時点でも十分にセンスを感じられる
楽曲が並んでおります。シングル2曲と、それと肩を並べるバンアパ流ロックナンバー「FUEL」
を三本柱に、個人的な選好では他にも「ANARQ」「in my room」と良曲揃い。
あと、30秒ほどのインタールード曲「ag FM」や、このアルバム発売前に発表されたディズニ
ー音楽コンピレーションアルバム「DIVE INTO DISNEY」に収録された「星に願いを」をシークレ
ットトラックとして持って来たりと、その辺の遊び心がまたパンクっぽかったのかもしれないっす
ね。「ag FM」はニュースキャスターばりにお堅いラジオのDJがガチガチのカタカナ英語で曲紹
介をするシュールな小品。ちなみに「ag」とは彼らの所属する自主レーベル「asian gothic」の
イニシャルをとったものです。多分。「星に願いを」はメロディーもコード展開もかなり自己流に
アレンジされていて、しかもかの夢多きディズニーソングに、後半では狂気の沙汰ともいえる
スクリームボイスが入っております(笑)音量はかなり絞ってありますが…。原曲を意識しなが
ら聴くと結構違和感覚えないこともないので、あえてコレはバンアパのオリジナル曲として聴く
ことをおすすめします。余談ですが彼ら、この後に発売されたこれとは別のディズニーコンピレ
ーションアルバム「MOSH PIT ON DISNEY」で参加したディズニー曲のカバーでもやはり断末
魔の叫びを披露。ディズニー作品にトラウマでもあるんでしょうか、彼ら…。って、おまけ
の紹介の方が長くなっちゃったな(笑)
とまぁそんな遊び心も交えつつ、この1stアルバムにて彼らは他の追従を許さないユニークな
音楽を世に堂々提示。しかしそのユニークさはこの段階に甘んじることなく、次作「quake and
brook」へと高めあげられていきます。(2005/7/16)
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